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Atsushi Nameda

行田敦

入社1年半で、宇宙の仕事へ。

入社1年半で、宇宙の仕事へ。 入社して初めての仕事は、自動倉庫の搬送機械の設計でした。入社当時は、設計とは図面を書くまでが仕事だと思っていましたが、実際にモノが完成するまでに何度も現場に足を運び、時には作業の手助けをしながら、一緒にモノを作り上げていくという感覚が必要であることが次第に分かってきました。

ある時、現場の熟練の方から「設計者は作業をする人のことも考えて図面を書いて欲しい」と言われたことを今でも覚えています。設計計算どおりに図面が描けても、作業者や使用者の立場を考えられなければ、作業性が悪かったり、とても扱いづらい製品になってしまうという、とても大切なことを教えてもらいました。

その仕事に携わって1年半ほどたった時、「宇宙の仕事が立ち上がるのだが、やってみないか?」と話を受けました。

“宇宙の仕事”とは、H2Aからさらに推力を増強した後継機H2Bロケットで、宇宙ステーション補給機(HTV)(外部リンク JAXA)を高度350-460kmの宇宙へ運び、自動制御によってHTVを宇宙ステーションへドッキングさせるというもの。運用としては日本初の試みです。

また、これまでのロケット打ち上げは主に探査や調査が目的でしたが、商用ビジネスを目指す上でのひとつの重要なステップとしても位置づけられています。こうして僕は、宇宙の仕事に携わるようになったのです。

7年間、HTVの設計に没頭。

7年間、HTVの設計に没頭。 HTVは直径4.2m、全長10m、重さ16.5tの輸送機です。HTVは上から与圧部、曝露部(ばくろぶ)、電気モジュール、推進モジュールに分かれていて、私は主に、曝露部の構造設計と各種装備品の設計を担当しました。
(※HTV全体構成図 外部リンク JAXA

当初に構想されていた設計では、重量が重すぎて要求を満足できないため、打ち上げの際にかかる加速度に耐えうる強度を保ちつつ、いかに軽量化できるかが求められました。しかしその一方で、船外用物資も輸送できるよう、曝露部には3m×2.5mの大きな開口部を開けているため、この仕様を実現しつつ強度を保つのはなかなか難しい要求でした。

それでもなんとか強度を保ちながら、曝露部の重量を目標まで軽減させることに成功。7年たってようやく強度試験に合格し、HTVの構造設計にメドがたちました。

曝露パレット挿入装置!

構造設計が一区切りついた後にとりかかったのが、曝露部に資材を搬入する装置の設計です。

当初は、資材を載せた曝露パレットをフォークリフトで入れる予定でした。しかし、曝露部には宇宙空間で物資の出し入れがスムーズにできるよう、特殊な潤滑油が塗布されたレールが設置されており、パレットのホイールがレールにガイドされるようになっています。このホイールとレールの隙間はわずか4mm。地上では、ホイールとレールがいっさい触れてはいけないことになっていました。しかもパレットの大きさは幅・高さとも2m以上で総重量は2.1tにもなるため、フォークリフトでは揺れが大きく、ホイールがレールに当たってしまいます。つまり針の穴を正確に通すほど精密な装置をつくらなければなりませんでした。
(※曝露パレットの概観 外部リンク JAXA

設計に半年。その後半年をかけて製造し、1年がかりで曝露パレット挿入装置を完成させました。

いよいよ宇宙へ!

現在はHTVをすべて組み立て、最終の試験を行っています。その試験が終了すると今度は種子島に運んで再度組み立て、H2Bに搭載します。

そして、10年越しの夢が、
2009年、宇宙へ飛び立ちました。

3m×2.5mの穴

HTVのような輸送機は、日本だけでなく欧州やロシアでも打ち上げています。

日本のHTVの特徴のひとつが、曝露部の穴(開口部)。宇宙空間で実験するための機材などを収めていて、実験時には宇宙ステーションのアームで曝露部から取りだせるようになっています。

こうした「曝露部の穴」がある輸送機は、実は日本だけ。世界からの注目度も高く、実際NASAの関係者が見学に訪れたりもしたほどです。

秒速7-8kmの宇宙ゴミ

宇宙空間には過去に衛星などから外れてしまった部品が、ゴミ=スペースデブリとして、秒速7-8kmの速さで飛んでいます。その数、小さいものを合わせて数百万個。

スペースデブリの破壊力は数mmの大きさでも大砲で撃つに等しいすさまじいものです。ある程度の大きさのものについては世界中で常時監視されていますが、数mmの小さいものについては、あまり情報がありません。

そのため、大きさが5-6mm程度のスペースデブリが機体にあたっても貫通しない強度を保つことが重要です。適切なシールドが確保されているせいか、パチンコ玉程の大きさのデブリを模擬したものを地上で実際に衝突させる試験など、宇宙ならではの設計も行っています。ちなみに貫通しない確率は、限りなく100%に近い値です。

わずか3週間

ロケットが打ち上がって、宇宙ステーションがある高度350-460kmに達するまでが数十分。そこからHTVを切り離して宇宙ステーションにドッキングするまでが数日。宇宙ステーションにドッキングしている間が2週間程度。その後HTVは大気圏に突入してチリになります。

10年の歳月をかけて作り上げたHTVは、打ち上げから3週間でその使命をまっとうします。

キャリアマップ

大学

機械工学を専攻。

キャリアマップ
新入社員~現在

自動倉庫の設計を経て、宇宙の仕事に従事。『今はHTVのミッションを成功させることに全力で取り組んでいます。』

キャリアマップ
未来

『特に宇宙にこだわりはないんです』とさらり。『タマディックには宇宙以外にも自動車、飛行機などいろいろな分野がありますから』と。

行田敦
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