ガス機器メーカーA社

A社は、ガス機器のメーカーである。その製造ラインは、類似する製品を多品種製造していることもあり、人の目による判断や人手に頼る工程も多く残っていた。近年はロボットやカメラ、画像認識技術などが進化しており、これらを使った自動化ができないかという検討をすることとなった。自動化の可能性検討において、小型金属部品の組み立て工程が対象となった。 2つの金属部品をピックアップし、圧入、検査、トレイへ整列するという作業を自動化する。弊社に対して、6点のご要望を頂いた。特に多品種に対応できることと、短いサイクルタイムを実現するという2点が大きな課題となった。

#FA・ロボティクス #自動化・省人化ソリューション #生産技術

A社からのリクエスト

  • できるだけ省スペースで

  • 多品種に対応してほしい

  • 少ない操作で複数の製品を切り替えられること

  • サイクルタイムは6秒

  • 部品供給は1日2回

  • 可動率95%(段取り替え、部品供給で止めない)

課題解決のために行った施策

  • 要件定義
    • 小さな部品を手早く組み立てることや、多品種に対応することが前提であり、産業用ロボットを使ったバラ積みピッキングによって自動化にチャレンジすることとなった。
    • このほか、品質、サイクルタイム、装置サイズ、予算などをヒアリングし、要件に落とし込んでいった
  • 構想検討
    • 自動化の鍵となるバラ積みピッキングの構想で、3Dカメラでは高価でピッキングも難しいと判断。振動フィーダで個々にばらして2Dカメラで撮像することで、安価で確実なピッキングを実現した
    • さらに、多軸ロボットを使って多品種に対応することや、サーボプレスを使ってプレス量をコントロールし、品質の安定を図るなど、機械・電気・ソフトウェアのベストな組み合わせを検討していった
  • 設備設計

    品質の作りこみなど、お客さまのニーズを設計に織り込んでいった

    • 部品の投入品種間違いを2Dカメラで併せてチェック
    • サーボプレスの挿入量をリニアゲージでデータ化
    • 制御機器を装置下部に収納した省スペース設計
  • 製作
    • 設計で作り込んだ要求値を実現する為、協力工場と連携した製作を実施
    • プレス条件、サイクルタイム、安全性、段取り替え手順、アラーム情報の可視化などの顧客要求を満足していることを社内試験で確認
  • 現地調整・納品

    現地への搬入から立ち上げ、試運転、流動確認(前後工程との連動確認)、生産立会いまで行った後にお引渡し

ご提供できた成果

(1)多品種に対応した(段取り替えの時間削減)

多品種の混合生産ラインであり、正しい部品を正確にピックすることはもちろん、段取り替えの時間を削減することも重要となる。これに対応するため、画像処理と多軸ロボットを組み合わせた、バラ積みピッキングを採用した設備を構想検討し、解決を図った

(2)短いサイクルタイムを達成することができた

要求タイムが厳しく、3次元画像処理では高価でピッキングも難しいと判断をした。そこで、フィーダーの工夫によって2次元で処理できるようにし、安価で高速なピッキングを実現。厳しいサイクルタイムをクリアすることができた

(3)省人化の実現

お客さまの要求をすべて満たすことができ、省人化を実現することができた。これにより開発費用は早期に回収できる見込みで、何よりも活人化に結びついている

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